こんにちは、マルムスです。
この記事では、初心者の方向けに優待クロスについて基本から分かりやすく解説します。
株主優待とは?
皆さんは「株主優待」というものをご存じでしょうか?
銘柄ごとに定められた権利日に、
株主優待を取り入れている銘柄の株を持っていると貰うことができるものです。
株主優待の種類は豊富で、その銘柄が展開する店の商品券だったり、
お米だったり、カタログギフトだったり、クオカードだったり…
いずれにしても、貰えると嬉しいものですね。
そのため、株主優待を貰うために、権利日付近で株を買いたいわけなのですが、
株価は上下するものですから、
例えば3千円の商品券を貰ったけど、株価が1万円値下がりしてしまったら損なわけです。
更に、権利日を過ぎると、短期的に見れば株主優待を貰える権利が無くなるわけですから、
株主優待の価値分ほど株価が下落することが多いです。
(そのため、権利日の翌日を権利落ち日と言います)
なんとか損することなく、株主優待を貰えないか?
そんな夢のような話があるのでしょうか?
その手法が、「優待クロス」なのです。
優待クロスとは?
優待クロスとは簡単に言うと、
株を買うのと同時に空売りをした状態で、権利日を跨ぐ手法のことです。
このクロスをした状態であれば、株価が下がったとしても、それによる損失はありません。
一方で、株価が急騰したとしても、その利益を貰えるわけではないので注意が必要です。
メカニズムを理解するには空売りの知識が必要です。
この記事では実践的な内容に絞りたいので詳細は割愛しますが、
空売りをすると、値下がりの分だけ利益になり、値上がりの分だけ損失になるのです。
つまり、買いと逆の状態になるわけです。
そのため、買いと同じだけ空売りを入れることで、
株価が上がっても下がっても、利益も損失も生まれないということになります。
しかし、株を持っているので、
権利日を跨げば株主優待は貰うことができるというものなのです。
優待クロスの注意ポイント
優待クロスを注文するうえで、注意しなければならないポイントが大きく2つあります。
順に説明していきます。
注意ポイント① 空売りの種類
まず注意しないといけないのが、空売りの種類です。
空売りには、大きく分けて以下の4種があります。
①制度信用
②一般信用(無期限)
③一般信用(短期)
④日計り信用
優待クロスで用いる空売り手法は、
②一般信用(無期限)と③一般信用(短期)のいずれかになります。
①制度信用は、逆日歩と呼ばれる追加の金利のようなものを支払わないといけないケースがあります。
④日計り信用は、1日限定の空売りですので、権利日を跨ぐことができません。
(正確には跨げますが、高額の手数料を取られます。)
では、一般信用の無期限と短期のどちらにすれば良いのか?
それは、次の注意ポイントに関わってきます。
注意ポイント② 空売りのタイミング
一般信用で空売りをすればよいことは分かりました。
では、いつ空売りをすれば良いのでしょうか?
タイミングを見極めるためには、まず一般信用の仕組みを知る必要があります。
一般信用の空売りは、簡単に言うと、証券会社から借りた株を売っています。
そのため、証券会社が貸す株が無くなったら借りられないのです。
すなわち、証券会社の貸す株が無くなる前に空売りをしなければなりません。
また、空売りを返済する、
すなわち借りた株を証券会社に返す期限についても考えないといけません。
一般信用(無期限)は、その名の通り無期限に借りられますので問題ないですが、
一般信用(短期)は返す期限が短く設定されておりますので、
返す期限が権利日より前だと、権利日を跨ぐことができません。
なので、一般信用(短期)は、権利日から逆算して、
返済期限を過ぎないように空売りをすれば良いことが分かります。
ですが、証券会社から株を借りている期間は、
貸株料と呼ばれる金利のようなものが毎日加算されます。
早くに空売りすれば、証券会社から株が無くなる前に空売りできますが、
その分、貸株料を多く払わなければならないという仕組みなのです。
実際に優待クロスをする流れ
いかがでしょうか?
簡単だと思っていたけれど、
期限や貸株料の話を聞いていると、難しいと感じる方もいるかもしれません。
初めは考えることが多く、難しく感じることもあるかもしれませんが、
慣れれば定常作業となり、簡単にクロスできるようになります。
そこで、実際に優待クロスをする流れを紹介してみたいと思います。
(例) 楽天証券の場合
本日が2025年3月1日だとしましょう。
3月末に権利日がある銘柄の株主優待が欲しいと思うわけです。
調べてみると、エディオンが3月末に権利日だということが分かったので、
エディオンの優待クロスを狙うことにしました。
まずは一般信用(無期限)の空売りができるかチェックです。
楽天証券のアプリでエディオンの一般信用(無期限)の空売りをしようとすると、
このようになっていました。

一番下に「売建可能数量 0株/1人当たり」となっています。
これは、既に貸せる株の在庫がないことを表します。
では、一般信用(短期)はどうでしょうか?
分かりにくいですが、画像の「信用区分 一般14日」が押せないようになっています。
すなわち、一般信用(短期)の注文は現在受け付けていないのです。
楽天証券の場合、一般信用(短期)の注文を受け付け開始するのは、
権利日の14日前の19時からなのです。
すなわち、権利日より前に返済期限が来ないようにしてくれているんですね。
では、権利日の14日前はいつなのか?
自分で計算しても良いですが、ミスを防止するために調べるのが良いでしょう。
オススメは、こちらのサイト。
いつから空売りできるかや、一般信用の在庫があるかをほぼリアルタイムで確認できます。
確認したところ、3月17日の19時から空売りできることが分かりました。
なので、3月17日に優待クロスを決行します。
(厳密には14日前は3月15日ですが、土曜日なのでその次の月曜日というわけです)
貸株料を抑えるため、3月17日以降に優待クロスをしても構いません。
しかし、人気銘柄の場合は同じく優待クロスをする人が殺到して、
一般信用の在庫が無くなることがあります。
貸株料はできるだけ抑えたいが、在庫が無くなる前にはクロスしたい…
ここが優待クロスの唯一の勝負所というわけです。
3月17日の19時になったとしましょう。
エディオンは100株保有でギフト券を貰えます。
そのため、100株の優待クロスを行います。
まずは、一般信用(短期)の売り注文を「100株 成行 寄付」で出します。
次に、現物買いの注文を同じく「100株 成行 寄付」で出します。
※クロスする場合は、寄付または引けの指定が必要です。
翌日の寄付で、買いと空売りが同じ値段で同時に約定します。
これで優待クロス成功です。
最後に、優待クロスの解消についてです。
権利日の引けを迎えたら、晴れて株主優待の権利獲得です。
翌日には空売りの返済期限が来ますから、優待クロスを解消しないといけません。
この時の手法が「現渡」です。
現渡とは、空売りで証券会社から借りた株に対して、
自分が持っている現物株を返すことで相殺する手法です。
信用建玉一覧のページから、エディオンを選択すると「現渡」ボタンがあります。
これで決済しましょう。
※引け直後に現渡をすると、早すぎて優待の権利が得られない可能性があります。
少し間を空けて注文しましょう。(私は20時くらい)
優待クロスにおすすめの証券会社
ここまで読んでいただいた方は、優待クロスにチャレンジしようと意気込んでいるでしょう。
そこで、おすすめの証券会社を紹介します。
楽天証券
楽天証券は、アプリが使いやすく、利用している方も多いと思います。
そんな楽天証券は一般信用(無期限)の在庫が早くに出ていたり、
一般信用(短期:14日)の在庫も多くあります。
まずは開設しておきたい証券会社です。

SBI証券
SBI証券も、楽天証券と同様の理由です。
もちろん、楽天証券とは一般信用の在庫が別なので、
楽天証券には在庫がないが、SBI証券にはある、ということが多くあります。
こちらも開設必須でしょう。

SMBC日興証券
SMBC日興証券は、一般信用の期限が全て3年です。
さらに、一般信用の在庫数が圧倒的に多いです。
ただし、現物買いに手数料が掛かりますので、
まず信用買いをしてから現引すると、手数料が掛からないというテクニックがあります。
(現引とは、信用買いで持っている株を、現物にする取引です。)
優待クロスをするなら開設必須です。
松井証券
松井証券は、上記3社には劣るかもしれませんが、
取り逃したと思った銘柄の一般信用の在庫が残っていることがあります。
他にも活用先のある証券会社ですので、是非開設しましょう。

マネックス証券
マネックス証券でしか一般信用売りができない高利回り銘柄が多くあります。
開設必須です。

GMOクリック証券
GMOクリック証券は、上記5社で売り切れた銘柄が残っていることが多いです。
私は優待クロスのためだけに開設しています。
最後に
いかがでしたでしょうか?
少し難しいと感じたところがあるかもしれませんが、実践するうちに慣れてきます。
失敗することがあっても、諦めず挑戦してみてください。
(私も最初は制度信用でクロスしてしまい、高額の逆日歩を負ったことがあります)
まずは1つの証券会社で、1つの銘柄で、など順を追って始めていきましょう。
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